なぜFX3を選んだのか
映像制作の仕事を頂く事が増えてきて、動画の専用機を検討していました。

すでに写真用としてα7C II を所有している中で、

動画主力として検討したのが Sony FX3 と α7S III。


どちらも12MPのフルサイズセンサーを搭載した動画フラッグシップ。
画質のベースとなる部分(センサー・映像処理)は同等で、純粋な画質差はほぼありません。
ただしFX3はCinema Lineとして、S-Cinetoneが扱いやすい位置にあることや、Cine EIで露出を厳密に管理できるなど、
仕事で回す前提のワークフローが最初から整っている点が異なります。
だからこそ今回は、スペック表ではなく現場での運用を基準に選びました。
結論から言うと、 動画を仕事の軸にするなら、FX3は非常に合理的な選択でした。
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比較①:FX3 vs α7S III
共通している強み
FX3とα7S IIIは、映像クオリティの核となる部分はほぼ共通です。


- 同一の12.1MP フルサイズ裏面照射CMOSセンサー
- 高感度・暗所性能に非常に強い
- 4K 120p対応(ハイフレームレート)
- S-Log3 / CineEI対応
- AF性能・追従性能も同等レベル
純粋な画質だけで見れば、優劣はありません。
運用面での決定的な違い
動画を作る目線で差が出たのは、ここからです。
| 機能・設計 | FX3![]() | α7S III![]() |
|---|---|---|
| 放熱性能 | 冷却ファン内蔵。長回し前提設計 | 強いが条件次第で熱制限あり |
| 操作性 | 動画専用UI・RECボタン最適配置 | 写真/動画ハイブリッド |
| 音声入力 | XLRハンドル標準付属 | XLRは別売アダプターが必要 |
| 拡張性 | ケージ不要でリグ構築しやすい | 写真寄りのボディ設計 |
| EVF | なし | あり(静止画向き) |
画質は同じ。 だが動画の実用性はFX3が一歩上。
EVF(ファインダー)問題をどう考えたか|使わないだけでなく、無いメリットもあった

α7S IIIを検討する中で、悩んだのが EVFの有無 でした。
- α7S III:EVFあり
- FX3:EVFなし(放熱・映画用途優先)
一見すると、EVFがあるα7S IIIの方が有利に見えます。
しかし、冷静に自分の撮影スタイルを振り返ると、 、、
実際にはEVFをほとんど使っていないことに気づきました。

- 写真撮影でも液晶モニター主体
- バイク・キャンプ撮影は
- 低い位置
- 高い位置
- 体をひねった構図が多い
- 動画撮影時にEVFに目を当てる運用はほぼゼロ
つまり、 EVFは魅力的だが、自分の撮影スタイルではほぼ使わない機能でした。
大きな声では言いづらいですが、 写真を撮る時もほとんど液晶モニターで完結しており、 ファインダーを覗く習慣がそもそも無かった、というのが正直なところです。
さらにEVFが無いことで、

- トップハンドルをボディに直付けできる
- リグを組んだときにマウント類と干渉しにくい といった物理的なメリットも出ます。
この時点で、FX3の設計思想が一気に腑に落ちました。
FX3を選んだ最大の理由|動画特化設計の恩恵
赤いRECボタンがもたらす安心感
FX3の大きな特徴が、 視認性抜群の赤いRECボタンとタリーランプ。


- 録画開始・停止が一瞬で分かる
- 回し忘れ・撮れていなかった事故を防ぐ
- ワンオペ撮影での信頼性が段違い
現場での「撮れていない」は致命的。 この一点だけでも、FX3を選ぶ価値がありました。
ワンオペ撮影での快適さ

- モードダイヤルを排除した動画専用UI
- 全ボタンが動画基準で配置
- 設定で迷わない
1人で撮って、1人で編集する そんな撮影スタイルに、FX3は完璧にハマります。
スローモーション性能|4K120pがほぼクロップなしで撮れる意味

FX3を選んで良かったと強く感じるポイントが、 4K 120pがほぼクロップなし(約1.1倍)で撮れることです。
- 画角が変わらない
- レンズの画角・ボケ感をそのまま活かせる
- スローモーション表現の自由度が高い
「クロップ」とは何か?
クロップとは、 高フレームレート撮影時に、センサーの一部だけを使って撮影されることを指します。
クロップが入ると、
- 同じレンズでも画角が狭くなる
- 体感的には「ズームされた」ような映像になる
FX3(およびα7S III)は4K120p撮影時、約1.1倍のクロップが入ります。
完全なノンクロップではありませんが、画角が約10%狭くなる程度なので、 広角レンズの開放感をほぼ損なわずにスローモーションが使えるのが大きな強みです。
動きのあるシーンやジンバル撮影では、 この差が映像の作りやすさに直結します。

企業案件やPV撮影でも 4K120pは確実に武器になります。
一方、α7C IIは4K60p撮影は可能ですが、約1.5倍のクロップ(Super35相当)が発生します。
同じレンズでも画角が大きく変わるため、 ジンバル運用や狭い場所での構図づくりではFX3との差が出やすいポイントです。
比較②:FX3 vs α7C II|役割分担の最適解
すでに所有している α7C II との役割整理も重要でした。
| 役割 | FX3![]() | α7C II![]() |
| 写真 | △ | ◎(3300万画素・EVF) |
| 動画 | ◎(Cinema Line) | ○(サブ動画) |
- 写真・軽量運用:α7C II
- 本気の動画:FX3

「一台で全部」より、 適材適所の2台体制が最も効率的です。
FX3を選んだ決め手(まとめ)

- 録画ミスを防ぐ赤枠RECボタン
- ほぼクロップなし(約1.1倍)の4K120p
- ジンバル運用しやすいボディ
- 長回し案件で安心できる放熱性能
万能機を増やすより、 動画に振り切る専用機を迎えたかった。
FX3は、動画制作に集中するために、無駄を削ぎ落とした1台です。
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